不動産鑑定士.com~不動産鑑定士試験合格支援サイト~


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不動産鑑定評価基準
総論
第1章
不動産の鑑定評価に関する基本的考察
第2章
不動産の種別及び類型
第3章
不動産の価格を形成する要因
第4章
不動産の価格に関する諸原則
第5章
鑑定評価の基本的事項
第6章
地域分析及び個別分析
第7章
鑑定評価の方式
第8章
鑑定評価の手順
第9章
鑑定評価報告書
各論
第1章
価格に関する鑑定評価
第2章
賃料に関する鑑定評価
第3章
証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価
留意事項
不動産鑑定評価基準運用上の留意事項


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① 直接還元法の適用について

ア一期間の純収益の算定について
 直接還元法の適用において還元対象となる一期間の純収益と、それに対応して採用される還元利回りは、その把握の仕方において整合がとれたものでなければならない。
 すなわち、還元対象となる一期間の純収益として、ある一定期間の標準化されたものを採用する場合には、還元利回りもそれに対応したものを採用することが必要である。また、建物その他の償却資産(以下「建物等」という。)を含む不動産の純収益の算定においては、基本的に減価償却費を控除しない償却前の純収益を用いるべきであり、それに対応した還元利回りで還元する必要がある。

P: 建物等の収益価格
a: 建物等の償却前の純収益
R: 償却前の純収益に対応する還元利回り

 一方、減価償却費を控除した償却後の純収益を用いる場合には、還元利回りも償却後の純収益に対応するものを用いなければならない。
 減価償却費の算定方法には定額法、償還基金率を用いる方法等があり、適切に用いることが必要である。

P :建物等の収益価格
a':建物等の償却後の純収益
R':償却後の純収益に対応する還元利回り

 なお、減価償却費と償却前の純収益に対応する還元利回りを用いて償却後の純収益に対応する還元利回りを求める式は以下のとおりである。

R':償却後の純収益に対応する還元利回り
R :償却前の純収益に対応する還元利回り
a':償却後の純収益
d :減価償却費

イ土地残余法又は建物残余法
 不動産が敷地と建物等との結合によって構成されている場合において、収益還元法以外の手法によって敷地と建物等のいずれか一方の価格を求めることができるときは、当該不動産に基づく純収益から建物等又は敷地に帰属する純収益を控除した残余の純収益を還元利回りで還元する手法(土地残余法又は建物残余法という。)を適用することができる。
 これらの方法は、土地と建物等から構成される複合不動産が生み出す純収益を土地又は建物等に適正に配分することができる場合に有効である。
 土地残余法を適用するに当たっては、建物等が古い場合には複合不動産の生み出す純収益から土地に帰属する純収益が的確に求められないことが多いので、建物等は新築か築後間もないものでなければならない。なお、対象不動産が更地である場合においても、当該土地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定することによりこの方法を適用することができる。

(ア)土地残余法
 土地残余法を適用して土地の収益価格を求める場合は、基本的に次の式により表される。

PL:土地の収益価格
a :建物等及びその敷地の償却前の純収益
B :建物等の価格
RB:建物等の還元利回り
RL:償却前の純収益に対応する土地の還元利回り

(イ)建物残余法
建物残余法を適用して建物等の収益価格を求める場合は、基本的に次の式に
より表される。

PB :建物等の収益価格
a :建物等及びその敷地の償却前の純収益
L :土地の価格
RL :土地の還元利回り
RB :償却前の純収益に対応する建物等の還元利回り

ウ有期還元法
 不動産が敷地と建物等との結合により構成されている場合において、その収益価格を、不動産賃貸又は賃貸以外の事業の用に供する不動産経営に基づく償却前の純収益に割引率と有限の収益期間とを基礎とした複利年金現価率を乗じて求める方法があり、基本的に次の式により表される。

P :建物等及びその敷地の収益価格
a :建物等及びその敷地の償却前の純収益
Y :割引率
N :収益期間(収益が得られると予測する期間であり、ここでは建物等の経
済的残存耐用年数と一致する場合を指す。)
:複利年金現価率

 なお、複利年金現価率を用い、収益期間満了時における土地又は建物等の残存価格並びに建物等の撤去費が予想されるときには、それらの額を現在価値に換算した額を加減する方法(インウッド式)がある。この方法の考え方に基づき、割引率を用いた式を示すと次のようになる。

P :建物等及びその敷地の収益価格
a :建物等及びその敷地の償却前の純収益
Y :割引率
N,n:収益期間(収益が得られると予測する期間であり、ここでは建物等の経済的残存耐用年数と一致する場合にはN、建物等の経済的残存耐用年数より短い期間である場合はnとする。)
PLn:n年後の土地価格
PBn:n年後の建物等の価格
PLN :N年後の土地価格
E :建物等の撒去費
 また、上記複利年金現価率の代わりに蓄積利回り等を基礎とした償還基金率と割引率とを用いる方法(ホスコルド式)がある。
 この方法の考え方に基づき、割引率を用いた式を示すと次のようになる。

P :建物等及びその敷地の収益価格
a :建物等及びその敷地の償却前の純収益
Y :割引率
i :蓄積利回り
N,n:収益期間(収益が得られると予測する期間であり、ここでは建物等の経
済的残存耐用年数と一致する場合にはN、建物等の経済的残存耐用年数
より短い期間である場合はnとする。)
:償還基金率

PLn:n年後の土地価格
PBn:n年後の建物等の価格
PLN :N年後の土地価格
E :建物等の撒去費

エ還元利回りの求め方
 還元利回りは、市場の実勢を反映した利回りとして求める必要があり、還元対象となる純収益の変動予測を含むものであることから、それらの予測を的確に行い、還元利回りに反映させる必要がある。還元利回りを求める方法を例示すれば次のとおりであるが、適用に当たっては、次の方法から一つの方法を採用する場合又は複数の方法を組み合わせて採用する場合がある。また、必要に応じ、投資家等の意見や整備された不動産インデックス等を参考として活用する。

(ア)類似の不動産の取引事例との比較から求める方法
 取引事例の収集及び選択については、「総論第7章鑑定評価の方式」に規定する取引事例比較法の適用方法に準ずる。
 取引事例から得られる利回り(以下「取引利回り」という。)については、償却前後のいずれの純収益に対応するものであるかに留意する必要がある。あわせて純収益について特殊な要因(新築、建替え直後で稼働率が不安定である等)があり、適切に補正ができない取引事例は採用すべきでないことに留意する必要がある。
 この方法は、対象不動産と類似性の高い取引事例に係る取引利回りが豊富に収集可能な場合には特に有効である。

(イ)借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法
 この方法は、不動産の取得に際し標準的な資金調達能力を有する需要者の資金調達の要素に着目した方法であり、不動産投資に係る利回り及び資金調達に際する金融市場の動向を反映させることに優れている。
 上記による求め方は基本的に次の式により表される。

R=RM×WM+RE×WE
R:還元利回り
RM:借入金還元利回り
WM:借入金割合
RE:自己資金還元利回り
WE:自己資金割合

(ウ)土地と建物等に係る還元利回りから求める方法
 この方法は、対象不動産が土地及び建物等により構成されている場合に、土地及び建物等に係る利回りが異なるものとして把握される市場においてそれらの動向を反映させることに優れている。

 上記による求め方は基本的に次の式により表される。
R=RL×WL+RB×WB
R:還元利回り
RL:土地の還元利回り
WL:土地の価格割合
RB:建物等の還元利回り
WB:建物等の価格割合

(エ)割引率との関係から求める方法
 この方法は、純収益が永続的に得られる場合で、かつ純収益が一定の趨勢を有すると想定される場合に有効である。
 還元利回りと割引率との関係を表す式の例は、次のように表される。
R=Y-g
R:還元利回り
Y: 割引率
g:純収益の変動率

(オ)借入金償還余裕率の活用による方法
 この方法は、借入金還元利回りと借入金割合をもとに、借入金償還余裕率(ある期間の純収益を同期間の借入金元利返済額で除した値をいう。)を用いて対象不動産に係る純収益からみた借入金償還の安全性を加味して還元利回りを求めるものである。
 この場合において用いられる借入金償還余裕率は、借入期間の平均純収益をもとに算定すべきことに留意する必要がある。この方法は、不動産の購入者の資金調達に着目し、対象不動産から得られる収益のみを借入金の返済原資とする場合に有効である。

 上記による求め方は基本的に次の式により表される。
R=RM×WM×DSCR
R:還元利回り
RM:借入金還元利回り
WM:借入金割合
DSCR:借入金償還余裕率(通常は1.0以上であることが必要。)

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