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平成20年不動産鑑定士試験短答式試験問題 |
[問題11]自用の建物及びその敷地に関する次のイからホまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、積算価格及び比準価格を関連づけて得た価格を標準とし、収益価格を比較考量して求めるものとする。
ロ 現状の建物が高層事務所であり。自用の建物及びその敷地の最有効使用が現状どおり高層事務所である不動産があるとすると、当該不動産の更地としての最有効使用は必ず高層事務所地である。
ハ 建物を取り壊すことが最有効使用と認められる場合における自用の建物及びその敷地の鑑定評価額は、自用の建物及びその敷地の現状の用途を前提として求めた価格に、取壊し、除去、運搬等に必要な経費を加算することにより決定するものとする。
二 建物所有者とその敷地の所有者が異なる場合であっても、建物所有者による使用収益を制約する権利の付着していない場合においては自用の建物及びその敷地となる。
ホ 自用の建物及びその敷地の収益価格は、実際実質賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより求める。
(1)1つ
(2)2つ
(3)3つ
(4)4つ
(5)正しいものはない
[問題12]下記略図のような敷地に最有効使用の状態にある新築かつ一棟の区分所有建物がある。価格時点現在、賃貸に供されているものはない。すべての部屋は、住宅のように供され、かつ敷地(所有権)及び共用部分の共有持分が建物の専有面積の割合により定められている場合において、2階のAタイプの区分所有建物及びその敷地の積算価格として正しいものはどれか。
一棟の建物及びその敷地の積算価格は、262,000,000円であることが判明している。
各比率は小数点第3位を四捨五入し(例0.546→0.55)、一住戸の積算価格は上4桁目を四捨五入して(例65,170,000円→65,200,000円)求めることとする。
なお、下記位置別効用比は、同一階層内の位置別効用比の略である。
位置略図
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Aタイプ
南西の部屋 |
Bタイプ
中間の部屋 |
Cタイプ
南東の角部屋 |
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位置別効用比 |
専有面積 |
位置別効用比 |
専有面積 |
位置別効用比 |
専有面積 |
3階 |
110 |
60㎡ |
100 |
40㎡ |
105 |
50㎡ |
2階 |
110 |
60㎡ |
100 |
40㎡ |
105 |
50㎡ |
1階 |
110 |
60㎡ |
100 |
40㎡ |
105 |
50㎡ |
(1)35,200,000円
(2)29,100,000円
(3)30,300,000円
(4)34,600,000円
(5)36,300,000円
[問題13]試算価格又は試算賃料の再吟味に関し、次のイからへまでの実務上検討すべき事項のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 価格形成要因の分析や方式の適用等、鑑定評価の手順において資料が適切かつ十分に活用されたかどうかの検討は、「資料の選択、検討及び活用の適否」についての検討内容である。
ロ 事例資料は、常に最有効使用のものを選択し、活用したかどうかの検討は、「不動産の価格に関する諸原則の当該案件に即応した活用の適否」についての検討内容である。
ハ 対象不動産の標準的使用及び最有効使用の判定に係る内容は、「一般的要因の分析並びに地域分析及び個別分析の適否」についての検討内容である。
二 取引事例比較法における取引事例の事情補正、時点修正、要因比較等の判断内容における妥当性の検討は、「各手法の適用において行った各種補正、修正等に係る判断の適否」についての検討内容である。
ホ 取引事例比較法における取引事例の要因の比較と収益還元法における賃貸事例の要因の比較の捉え方に矛盾がないかの検討は、「各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性」についての検討内容である。
へ 対象不動産について、規模が十分に考慮されているか、総額としての観点から、規模が大きい対象不動産については、減価する必要があるかどうかを検討することは、価格を求めるに当たっての「単価と総額との関連の適否」についての検討内容であるから、賃料を求めるに当たっては、考慮する必要はない。
(1)すべて正しい
(2)2つ
(3)3つ
(4)4つ
(5)5つ
[問題14]鑑定評価手法の適用に関する次のイからホまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合は、早期売却に伴う減価の査定に当たっては、転売目的の市場参加者を想定した取得採算価格は有効な検証手段とされている。
ロ 対象不動産が借地権付建物の場合であっても、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときには原価法は有効である。
ハ 収益分析法は、一般の企業用不動産であって総収益自体が優れた経営組織や強大な資本力等により実現されている場合のように、補正を要せずに対象不動産に帰属する総収益の額又は必要諸経費等を含む賃料相当額を適切に求め得る場合に有効である。
二 収益還元法は、本来、取引価格に対して有力は検証手段としての有効性をもつものであり、その手法のなかに取引事例比較法の考えを取り込むべきでない。
ホ 取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。
(1)1つ
(2)2つ
(3)3つ
(4)4つ
(5)すべて正しい
[問題15]証券化対象不動産の鑑定評価におけるDCF法の費用項目に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ 対象不動産の運営において、電気・水道・ガス・地域冷暖房熱源等に要する費用を維持管理費という。
ロ 対象不動産に係る建物、設備等の修理。改良等のために支出した金額のうち、当該建物、設備等の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する支出を収益的支出という。
ハ 建物・設備管理・保安警備、清掃等対象不動産の維持・管理のために経常的に要する費用を収益的費用という。
二 対象不動産の管理業務に係る経費をアセットマネジメントフィーという。
ホ 対象不動産に係る建物、設備等の修理、改良等のために支出した金額のうち、当該建物、設備等の通常の維持管理のため、又は一部が毀損した建物、設備等につきその原状を回復するために経常的に要する費用を維持管理費という。
(1)1つ
(2)2つ
(3)3つ
(4)4つ
(5)すべて誤っている
[問題16]不動産鑑定評価における地域の概念に関する次のイからホまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
イ 近隣地域と類似地域とは重複することがある。
ロ 近隣地域の外かつ同一需給圏内の類似地域の外に存する不動産と対象不動産との間に代替、競争等の関係が成立することはない。
ハ 高度商業地の同一需給圏は、商業収益に関して代替性の及び地域の範囲に一致するから、同様の商業収益をあげうる不動産の存する地域に限定され、狭められる傾向にある。
二 移行地の同一需給圏は、一般に当該土地が移行すると見込まれる土地の種別の同一需給圏と一致する傾向がある。
ホ 現況が戸建住宅である不動産の同一需給圏は、戸建住宅として評価対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域に常に限られる。
(1)1つ
(2)2つ
(3)3つ
(4)4つ
(5)すべて誤っている
[問題17]建物及びその敷地のうち建物のみの鑑定評価に関する次のイからホまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合における建物のみの鑑定評価は、一般に特殊価格を求める場合に該当する。
ロ 建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物の鑑定評価は、積算価格及び建物残余法による収益価格を関連づけて決定する。
ハ 建物及びその敷地が一体として市場性を有しない場合における建物のみの鑑定評価は、その利用現況等を前提とした場合、積算価格を標準として決定する。
二 建物及びその敷地が一体として市場性を有する場合における建物のみの鑑定評価が、その敷地と一体化している状態を前提として、その全体の鑑定評価額の内訳として建物について部分鑑定評価を行うものである。
ホ 鑑定評価報告書には、特殊価格を求めた場合には文化財の指定の事実を等を明らかにしなければならない。
(1)1つ
(2)2つ
(3)3つ
(4)4つ
(5)すべて正しい
[問題18]原価法に関する次のイからホまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である。原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においては、この手法を適用することができない。
ロ 耐用年数に基づく方法による経済的残存耐用年数の把握は、税法上の定められた法定耐用年数から経過件数を差し引くことにより求める。
ハ 再調達原価を求める方法には、直接法及び間接法があるが、建築後相当期間経過している建物で、何れの方法も適用困難な場合には、置換原価を再調達原価とみなすことが可能である。
二 建物及びその敷地の再調達原価は、まず、土地の再調達原価(再調達原価が把握できない既成市街地における土地にあっては取引事例比較法及び収益還元法によって求めた更地の価格)又は底地の価格を求め、この価格に建物の再調達原価を加算して求めるものとする。
ホ 耐用年数に基づく方法には、定額法、定率法等があるが、これらのうちいずれの方法を用いるかは、対象不動産の実情に即して決定すべきである。特に、定額法を用いる場合には、経過年数に重点をおいて判断すべきである。
へ 新築直後の戸建住宅においては、減価要因はないものとして評価を行う必要がある。
(1)1つ
(2)2つ
(3)3つ
(4)4つ
(5)正しいものはない
[問題19]価格に関する次のイからホまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 借地借家法第19条第3項に基づく借地権の譲渡許可について、底地の所有者が借地権買取りを求める場合の鑑定評価で求められる借地権価格は正常価格より常に高くなる。
ロ 経済合理性に反する不動産の分割が行われる場合に求められる限定価格は正常価格と一致する場合がある。
ハ 資産の流動化に関する法律又は投資信託及び投資法人に関する法律に基づく鑑定評価依頼の下で投資家に示すための投資採算価値を求めた特定価格は正常価格と理論上は異なるはずであるが一致することもある。
二 公共公益施設の用に供されている建物及びその敷地について、特殊価格として求められる積算価格は、建物取り壊しを前提とせずに正常価格として求められる際に算出される積算価格と原則一致する。
ホ 賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立する継続賃料は、市場参加者が特定されているため、正常賃料より高くなる。
(1)1つ
(2)2つ
(3)3つ
(4)4つ
(5)正しいものはない
[問題20]証券化対象不動産の鑑定評価に関す次のイからホまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
イ 証券化対象不動産の鑑定評価を複数の不動産鑑定士が共同して行う場合にあっては、それぞれの不動産鑑定士の役割を明確にした上で、適正な鑑定評価の観点から他の不動産鑑定士と情報共有することなく、独立して各自の鑑定評価の業務を遂行しなければならない。
ロ 証券化対象不動産以外の不動産の鑑定評価を行う場合にあっても、投資用の賃貸大型不動産の鑑定評価を行う場合その他の投資家及び購入者等の保護の観点から必要と認められる場合には、各論第3章(証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価)の定めに準じたか否かについて記載しなければならない。
ハ 証券化対象不動産の鑑定評価は、各論第3章(証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価)の定めに準じて、鑑定評価を行うよう努めなければならない。
二 依頼者が証券化対象不動産の証券化に係る利害関係者と特別な利害関係を有する場合には、適正な鑑定評価を行うことができないため、鑑定評価の依頼を断るべきである。
ホ 証券化対象不動産の鑑定評価書については、依頼者及び証券化対象不動産に係る利害関係者その他の者がその内容を容易に把握・比較することができるようにするため、鑑定評価報告書の記載方法等を工夫し、及び鑑定評価に活用した資料等を明示することができるようにするなど説明責任が十分に果たされるものとしなければならない。
(1)正しいものはない
(2)1つ
(3)2つ
(4)3つ
(5)4つ
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